アルバム「Borderline BoardGame」をリリースしました

  • date : 2025-04-20
  • category : Music

アルバム「Borderline BoardGame」を各種サブスクなどで配信リリースしました。
配信リンクはこちらです。
Borderline BoardGame by 山本いろは | TuneCore Japan

「自己と他者の境界を持つ」ということは人生において重要なテーマだと感じます。

「あなたは私ではなくて、私はあなたではない」という当たり前のことを思い続けることがどれほど難しいか。
人間は愚かなもので、つい期待したり失望したり。自分を顧みれば、それだけのことでどれだけの人を傷つけたか。あるいは遠ざけたか。
「同じ景色を見ても、あなたは私と違うことを感じている」という事実は、そしてその当然を受け入れることはとても大事なことです。
ただ、過剰に諦めて醒めた目で世界を見ると、「あなたと私は他人だから分かり合えない」という諦念に。
翻って「あなたは私の敵で、私はあなたの敵だ」というところに行きついてしまうのかなと思います。

何も現代社会の構造と紐づけて指摘するまでもなく、線を引いて、そこからはみ出した人を攻撃することは人間の根源的欲求でしょう。
遥か昔から、永久不変の娯楽なのではとすら感じます。
ゲームのように役割を振り分けて。ノルマとペナルティを押し付けて。安い快楽の褒美で走らす。
信賞必罰、素晴らしい理念のようで、決めるのはいったい誰?何の権利で?
相容れないなら遠ざければいい。不快なものは傷つけてしまえばいい。謝らせて従わせればいい。
その方がわかりやすくて簡単で。
娯楽なのだから、ルールはシンプルな方が盛り上がります。

誰かを傷つけないことは難しいことです。時に主張しなければ、一方的に傷つけられることもあります。
それを許容し続けることは出来ないので、声を出すしかなくて。
お互いを抑圧し合うことで守られる公共福祉や治安もあると思います。
嫌いな人、考えが合わない人がいるのは当然です。
「殺したいやつ」くらい、人生にひとりはいたでしょう?

結局0か100か、敵か味方か、そんなわかりやすい境界は存在しない。
そのはずなのに、見渡せば境界だらけの世界で。
だとしたら平和な世の中なんて幻想なのでしょうか。
明けない夜などないけれど、やがて訪れる朝が理想的だなんて、どうして信じられるのでしょう。

「あなたは私の味方で、私はあなたの味方だ」
そう想うことは、隣人と手をつなぐことは、そしてそれを広げていくことは、途方もないことで。
そんなこときっと人類には不可能だと思います。少なくとも私には出来ません。
世界には、少年だった自分が想像していたより優しい人が多くて、
「殺したいやつ」なんて、そんなにはいないとわかっても、です。

それでも、誰かを嫌うことを、分断を煽り、益を生むことを許すわけにはいかないと思います。
それは間違いだと言い続けたいし、思い続けたい。
でも、許すなんて言葉を使うことは、また別の境界を引くことでしかなくて、傲慢な態度でしかないのですが。

そんなアルバムを作りました。
「私はあなたの味方です」なんて軽々しく言えないけど、この曲たちは自分の味方かもしれないと感じてもらえたらうれしく思います。
もしそんな感情を誰にでも配って歩けたら。
自分には出来ないですが、唄になら出来るかもしれない、と少しだけ思います。
そして、いつかそんな夜明けが等しく訪れることを願っています。

「やっぱり『THE LIVING DEAD』ってこと?」と思われた方。
半分正解です。去年のBUMPのライブでめちゃくちゃ泣きました。